ストレスチェックサービスの業者を変更するには?手順や注意点を解説します

ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止を目的として2015年12月1日に施行されました。
施行から5年以上が経過しましたが、ストレスチェックを自社内で実施するには多くの手間と費用がかかるため、実施を外部へ委託している企業は年々増えています。しかし、中には様々な理由からストレスチェックサービスの業者変更を検討しているいる企業担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、ストレスチェックサービスの切り替えを検討する際に注意すべきポイントと手順について解説いたします。
目次
ハードルは高くない、ストレスチェックサービスの業者変更
企業担当者にとって、ストレスチェックの委託業者を変更することは大変なことに感じるかもしれません。
しかし、実際のストレスチェックサービスの変更は決して大変な作業ではありません。変更することで、受検率の向上や費用の削減、更には自社担当者の負担をより軽減できる可能性まである訳ですから、現在のストレスチェックサービスに不満や不安をお持ちならば積極的に変更を検討すべきでしょう。
ただし、数多く存在するストレスチェックサービスの中から自社に適したサービスを選定するには、要件の整理とサービス内容の把握は必須です。
細かい確認内容については、本文の最後にストレスチェック委託業者の選定・変更時にお使い頂ける『ストレスチェック業者選定・変更時のチェックリスト』がございます。ぜひ活用頂き、各ストレスチェックサービスの内容を慎重に確認してみて下さい
ストレスチェックサービスの業者変更に必要な手続きと実施までの流れ
ストレスチェック委託業者の変更を検討し、新しいストレスチェックサービスで受検するまでの流れは以下となります。
- 既存サービスの契約内容を確認
- 変更したい理由・条件等を整理(料金・困っていること・要望等)
- 新規にストレスチェック委託業者を探す
- サービス内容や料金が希望・条件と合致しているかを確認
- 新規ストレスチェック委託業者の決定
- 新規ストレスチェック委託業者と契約後、受検予定者データを提供
- 詳細な仕様打合せ、見積確定、正式に発注
- 社内事前周知
- ストレスチェック実施
中には実施の数週間前でも対応可能と謳っているストレスチェックサービスもありますが、余裕をもって進めるならば実施予定日の2ヶ月程度前には新規のサービスを決定しておきたいところです。
ストレスチェックサービスの業者を変更したい理由は?

ストレスチェックサービスの変更をすすめる際には、現在のストレスチェックサービスのどこに問題があり、なぜ変更したいのかをきちんと整理しましておきましょう。
現状の問題点が曖昧なまま次のストレスチェック委託業者を探してしまうと、変更後に再び思わぬ不満や問題点が出てきてしまうことになりかねません。
企業担当者にヒアリングしてみると、ストレスチェック委託業者の変更を検討している理由として主に以下の3つがあげられます。
①ストレスチェックの実施費用を安くしたい
ストレスチェックサービスの業者変更を検討している理由として一番多いのは費用に関することです。
純粋に今より安く実施できるストレスチェックサービスを探している企業様だけでなく、
- 費用の割にストレスチェック実施の手間や人件費ががかかっているので見直したい
- 依頼したいサービス(紙受験や外国語対応など)がオプション扱いになり費用が高くなってしまう
など、費用と手間が見合っていないと感じられた結果、変更を検討される企業が多いようです。
②営業担当者の対応に不満がある
ストレスチェックサービスの営業担当者に対する不満も、変更を検討する理由としてよく挙げられます。
- 担当者からの連絡があまりにも遅い
- 更新の連絡が直前すぎる
- 電話対応をしてくれない
- 担当者が相談にのってくれない
など、ストレスチェックサービスを提供する側のレスポンスや柔軟性に欠ける対応が原因となっていることがあります。
③システムに問題がある
深刻なシステムの問題でストレスチェックサービスの変更を検討する企業も多いようです。
- システムのエラーが多すぎて満足な受験ができない
- 必要な集団分析のデータを出力できない
などのシステムの問題や、
- ストレスチェックサービスが終了してしまった
という、変更せざる得ない理由をお聞きしたこともあります。
ストレスチェックサービスの業者変更で失敗しない為のチェックポイント

現状のストレスチェック委託業者を変更したい理由が整理できたら、新しいストレスチェックサービス探しをスタートしましょう。
以下では、ストレスチェック委託業者の変更に失敗しない為の注意点をいくつかご紹介します。
費用に何が含まれているのかを細かく確認する
ストレスチェックサービスを検討された経験ある企業担当者ならばご存知かとは思いますが、各ストレスチェックサービスは「一人あたりの検査費用」として表に出ている金額以外にも、別途費用がかかる可能性があります。
例えば、
- 初期費用だけでなく毎年管理費も必要
- 紙の検査は別途送料がかかる
- 代表実施者・実務従事者の委託には別途委託料が必要
- 受検期間の延長対応は有料対応
など、細かく確認すると様々な費用が別途必要となるストレスチェックサービスが存在します。
そのため、ストレスチェック委託業者の変更を検討される際にも、表に出ている費用には何が含まれていて、何がオプション扱いとなるのかなどを細かく確認しておくことをおすすめします。
事前にストレスチェックサービスの画面や雛形などを確認しておく
新たなストレスチェック委託業者と契約する前に、ストレスチェックサービスの画面や受検用紙を確認しておくことをお勧めします。できればデモ環境を提供してもらうと良いでしょう。
そして、以下のような項目を確認しておきましょう。※本文最後のチェックリストに詳細を記載しています。
- 集団分析が可能な項目
- 分析レポート(分析可能な項目毎に並べて比較できるか)
- 受検用紙や結果票のサンプル(紙受検の場合)
- 従業員への配信メールのひな型
- 人事データのひな型
使いやすさだけでなく、自社の必要とする分析結果を得られるのかも確認が必要です。
現在のストレスチェックサービスの契約内容を確認しておく
現在のストレスチェックサービスについて、契約内容を確認しておきましょう。
- 過去データを提供してもらうために費用がかかるのか
- 解約時の解約金、途中解約時の取り決めなどの縛りがないか
など、ストレスチェックサービスを変更する為に必要となるデータや費用の把握に必要となります。
営業担当の対応も確認を
いくら仕組みが良く出来ているストレスチェックサービスでも、営業担当とのやりとりがスムーズに出来ないのであれば意味がありません。
なかなか客観的な判断は難しいですが、ストレスチェック委託業者の営業担当と実際に話しをしてみて、
- 営業担当者の対応がスムーズか
- メール対応の他、電話対応もしてもらえるか
- 助成金対応の相談も可能か(50人未満の事業所や支店を持つ法人や企業は毎年助成金を利用できます)
などを確認してはいかがでしょうか。
まとめ
以上、ストレスチェックサービスの業者を変更する際の流れとチェックポイントのご紹介でした。
スムーズにストレスチェックサービスを変更するためには、何よりもしっかりと要件を整理しておくことが大切です。
既存のストレスチェック委託業者を変更したい理由や、新しいストレスチェックサービスの内容や料金が希望・条件と合致しているかを整理しつつ、次のストレスチェックでは実施費用の削減だけでなく受検率の向上や担当者の負担も軽減できるストレスチェック委託業者への変更を検討してみてはいかがでしょうか。
新しいストレスチェック委託業者を検討の際には、以下のチェックリストをご活用下さい。
【ストレスチェック業者】選定・変更時のチェックリスト(EXCEL)
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【参考資料】
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(厚生労働省)